あずまの蘊蓄珈琲談(vol.3)
抽出に振り回される
「コーヒーの抽出」とはマニアックな人しかできなくて素人は上手く淹れられないもの。そんなイメージを少なからず持っておられる方も多いのではないでしょうか。
85度のお湯でゆっくりと真ん中から注ぎ30秒蒸らして、のの字に円を描いていって何回かに分けて周りに土手を作って・・。しかもそれが味に対してどういった意味を持っているのかについても、なんかぼやけた感じ・・なんてこともあるでしょう。「コーヒーの抽出」のせいでコーヒーを楽しむことが難しく感じてしまい、結局インスタントにしよう!となるのは勿体無いと感じます。
ではコーヒーの抽出に関して難しく感じる理由とは何でしょう。それは結局、家に持って帰って抽出しても”美味しくならない”。からではないでしょうか。それを”コーヒーの抽出”によるミスだと感じたり、いろんな方法を試して、何が正しいのかわからなくなったり、コーヒー店のプロが推奨する淹れ方に拘ってどんな珈琲もそのメソッドで抽出したり・・。その結果やっぱりお店で飲むコーヒーが美味しいと感じるのではないかと思います。確かにお店で飲むコーヒーは格別ですが(笑)
つまり「コーヒーの抽出」だけを抜き出して「コーヒーの抽出」でコーヒーは美味しくなるはずと思っているのではないでしょうか。
美味しいコーヒーを楽しむためにはまずコーヒーの生豆が良いこと。そして適正に焙煎していることがとても大切です。「抽出」よりウエイトがかなり重いです。安いお肉を焼き方を頑張ったところで良質のお肉の味にはなりません。素材自体の品質が大きいのです。その上で素材に合った、焙煎に合った調理方、「抽出」をすることが大事です。100度のお湯でも、1回で抽出し切っても、素材に合っていればそれでいいのです。
コーヒー屋さんごとに生豆の選定、そして焙煎のプロファイルはかなり異なります。なので一番の抽出方法はそのコーヒー屋さんの推奨するレシピ、淹れ方で抽出することが大事です。それで美味しくなかったらコーヒー屋さんの提案が悪いか、元々のコーヒーが美味しくないのだと思います。では抽出重要論になった背景には何があるのか?それはまたの機会に触れたいと思います。
文 あずま