あずまの蘊蓄珈琲談(vol.2)

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深煎り文化の流れ


スペシャルティコーヒーが広まり始めて10年から20年くらい経ちますが今なお深煎り珈琲は人気です。では日本の喫茶店文化においてなぜ深煎り珈琲は文化となったのでしょうか。

このことについて私は歴史的背景や当時の状況も大きく関わってきているように考えています。スペシャルティコーヒー以前の浅煎りについては私自身美味しいと感じたことはありません(笑) ピーナッツのような空っからの味にフルーティーな酸味や甘さもなかったと記憶しています。それは当時の生豆の状態にあったと考えられます。

当時は収穫から輸送に至るまでの環境が整えられていませんでした。つまり日本に到着した時点で枯れ果てていたものが多かったと思われます。日本は主要な産地から特に離れていることも大きいです。そんな枯れた豆しか手に入らない環境にあって、いかに美味しく、いかに豆の持つ枯れた味を隠すかの結果、深煎り、そして味を補強するブレンドへの流れがあったと考えられます。それに合わせた抽出方法の工夫も特記すべきことと思います。(雑味を抑える抽出法)同じく敗戦国だったイタリアのエスプレッソにも同じ流れがあります。同じく良い豆が買えなかったところ粗悪な豆をまぜ、ブレンド、深煎りにしたのです。それがイタリアの現在のエスプレッソの形、文化になっています。つまりこの歴史的環境、流れの中でひと世代前の先輩たちの工夫と苦労の結果深煎り文化が広がったのではないかと思います。 深煎り珈琲はある意味 ”コーヒーらしく” 美味しいです。ただ品質が向上した現在コーヒーの可能性は当時より非常に大きく広がっているのだと思います。

文 あずま

 


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