【コーヒー小話】浅煎りコーヒーについて

【コーヒー小話】浅煎りコーヒーについて

浅煎りコーヒーについて少し考えてみる。

最近では嬉しいことに浅煎りコーヒーを楽しむ方も増えてきました。
特に若いコーヒー好きな方は浅煎りを好む方が多い印象です。

では、
  • なぜ今浅煎りが流行ってきているのか
  • 浅煎りにすると何がいいのか
  • 逆にネガティヴなこともあるのか
見ていきたいと思います。


数十年前に流行った、浅煎りコーヒー。その理由は?

浅煎りコーヒーについて

歴史的に見ると、1960年代くらいまではいわゆる”ファーストウエーブ”と呼ばれる大量消費時代です。

大量にそして安価で提供するために粗悪な豆を提供していました。
その時代のイメージの代表はやっぱり”アメリカ”。

日本の”アメリカン”は濃度を軽めにして抽出するものですが、アメリカではお湯で伸ばした量だけ多いコーヒーを提供していたようです。


その頃のアメリカの流行りの焙煎度合いは実は”浅煎り”。
なぜそんな大量消費時代の焙煎度合いが浅煎りなのでしょう。

それは、浅煎りの方が深煎りよりも原価が安くなるからです。

浅煎りは水分が多く残っており、深煎りより重量が重い。
つまり同じ100gの生豆を焙煎すれば、浅煎りは86gになり、深煎りは80gになります。

焙煎業者からすれば焙煎豆を同じ200gで販売すれば浅煎りのほうが原価が安くなります。少し安く提供することもできます。

焙煎業者は安くて粗悪な浅煎り豆を大量に安く売りつつ、喫茶店はお湯で伸ばしながら安くて大量に売れるコーヒーで儲けようというわけです。コーヒーは安いもの。アメリカでコーヒーとは安くないと売れないものだったのでしょうか。


その後流れは変わり、深煎りコーヒーが主流へ

その時代でも場所を変えてヨーロッパではもっと焙煎度合いが深くコクのあるコーヒーを提供していたと思われます。

カフェは客好みの美味しいコーヒーを提供し、顧客は香りと味わいを楽しむ。
長いカフェー文化や嗜好品を愛する文化が当たり前に成熟しているんでしょうね。
焙煎業者は生豆の品質や土地柄に合わせて焙煎に取り組む
カフェーは店のコンセプトのもと地域の顧客のニーズに合わせて美味しいコーヒーを提供する

さすがヨーロッパですね!
場所を戻してアメリカでも安くてまずい浅煎りコーヒーに対してアンチのサブカルチャーコーヒーカンパニーが登場します。それがオランダ出身の「ピーツコーヒー」(1966年創業)やそれに影響を受けた「スターバックス」(1971年創業)です。
安価で粗悪なコーヒー文化に対抗して、ヨーロッパから影響を受けた品質に拘った”深煎り”のコーヒーを提供し始めました。


浅い=生豆が粗悪で焙煎も浅く薄い
から
深い=より良い生豆を使用し、焙煎を深く煎りコクのある深煎りに

の流れになってきます。


スペシャルティコーヒーという概念が誕生

スペシャルティコーヒーとは

その後1978年クヌッセン女史が唱えたスペシャルティコーヒー”の概念が登場します。それぞれの地域が有する風土、自然環境、品種、などによりもたらされる固有のコーヒーの風味や個性に着目し、”品質”の良いコーヒーのもつ特別な風味や香りに注目と対価が集まるような仕組みができてくるのです。

その流れからメインストリームになっていた深煎り珈琲にも疑問を持ち始めるグループが現れます。

「素晴らしいコーヒー豆、スペシャルティ珈琲を深くすると、本来豆のもつ素晴らしい香味を殺してしまうのではないかという疑問です。」

スペシャルティコーヒーの魅力を最大化する方法は、フルーティーで素材の良さが際立つ”浅煎り”なのではないか!?

ファーストウエーブと同じ"浅煎り"ながら真逆のアプローチですね。

スペシャルティコーヒーの特徴としては「優れた環境」で作られた雑味のない優れた風味を持っているコーヒーです。

なので、その特徴ある綺麗な
  • 酸味
  • 風味
  • 甘さ
  • 液体の綺麗さ
を最大限発揮するため、徐々に”浅煎り”がフォーカスされはじめました。

深く焙煎していくとどうしても焦げが増えてきたり、甘さが減ってきたり、フルーティーな酸味を感じなくなったりします。
もちろん香ばしく、その香りや苦味は魅力的ですが、どれも”コーヒー感”のある同じような苦い飲み物になってくるのです。(もちろん豆によっては風味が残ります)
つまり、コーヒーが持つ酸味や風味、甘さは浅煎りの方が楽しめると言うことがわかってきます。


その流れから特別な香味のスペシャルティコーヒーは浅煎りで焙煎するスタイルが増えてきました。


いい素材があれば、その素材の良いところを最大限に引き出したいと思うのが料理人ですよね。
いい素材であればあるほど素材の味を出した方が自然の素晴らしさを体験できます。

素晴らしいコーヒーを作り上げ、その良さを表現しようとした結果 ”浅煎り”が注目、フォーカスされたと言うことです。
ちなみにアメリカでは品質を上げるため深煎りが主流になっていきましたが、日本でも同じ流れをたどります。当時はスペシャルティコーヒーは知られた存在でもなく、コモディティ市場のコーヒー豆がほとんどで、輸出までの管理も適切になされていたわけでもなかったと言えます。その上遠い日本まで生豆が麻袋に直接入れられたまま海を数ヶ月渡ってくるのです。もう店に着いた時には・・。枯れ枯れです(笑) そんな豆をアメリカとは違って美味しく飲むために深煎りにして、嫌な味わいを隠すために豆をたくさん使って粗く挽いて温度低くと工夫します。素晴らしいクラフトマンシップですね。
ピーツやスターバックスと少し違うのは、日本に入ってくる生豆のクォリティは以前低いままだったようです。中南米やアフリカから距離的に遠いのもかなり影響します。


浅煎りを焙煎するのは難しい?

ですのでコーヒー豆の品質は日進月歩向上してきました。
そして新しいロースターや自家焙煎業者でスペシャルティコーヒーを取り扱うところはたくさん出てきました。

そのスペシャルティコーヒーという素材を生かすために”浅煎り”が増えてきているということです。
ちなみに焙煎業者からすると”浅煎り”を焼くことは結構難しいです。

例えば綺麗に焙煎できれば爽やかな酸味でですが、少しずれてくると重い渋い酸味になったり、峻険性のあるきつい酸味になったりします。
風味がしっかり表現できているかも重要です。
つまり風味をしっかり出しつつ、綺麗に均一に火が入っていて、酸味と甘さのバランスがよく嫌な渋み、えぐみ、苦味がない状態を作り上げないといけません。
これが難しい・・・。

あと生豆のクォリティも重要です。少し発達が悪い、不揃い、精選時や運搬に関わる管理の影響が出てきます。よくない豆は浅煎りにできません。仮にとっても良くない状態の豆を浅煎りにすると??
そうです、なんとファーストウエーブのまずい浅煎りに近づいてしまします!!笑
生豆が古くなってきても難しいので、そんな豆は少し深く焼いたりするんですよ。
執拗に浅煎りにこだわると・・うっ・・まずい・・( ;  ; )
まあとにかく生豆も然りですが、焙煎失敗すると嫌な酸っぱさや渋みエグ味が強いので飲みにくいことになります。この辺がなかなか難しいことから美味しくない浅煎りを飲んでしまい世にたくさんいる”浅煎り”コーヒーが嫌いな人が多いのだと思います。
是非後味に甘さがあって綺麗な”浅煎り”コーヒーを提供するコーヒー屋さんから”浅煎り”コーヒーを買ってみてください。浅煎りの酸っぱいイメージが変わっていくのではないでしょうか。

あっ、あと抽出もとても大事なので買ったコーヒー屋さんでその豆に合う抽出方法を確認してください。まったく合わない抽出だと魅力が半減されるかもです。
栽培から焙煎、抽出に至るまで頑張り続けた浅煎りコーヒーを是非お楽しみいただけたら嬉しいです。

ONSAYAおすすめの浅煎りコーヒー豆

■RWANDA Shyira 
(ルワンダ シーラ ウォッシュド 極浅煎り

 クリーンで明るいシトラスティーフレーバーと酸味、そしてホールドする甘み。品質の高さを感じる1杯です。スペシャルティの浅煎りの醍醐味をお楽しみいただけます。焙煎は極浅煎りです!

 

■COLOMBIA Rubiela Velasquez FullyWashed
(コロンビア ルビエラ ベラスケス)

いい酸といい甘さがあり品があります。もちろん王道の“Washed”です。やっぱりコロンビアは美味しい。毎日飲みたいコーヒーです♫
今回のコロンビアも久留米の人気ロースター”Coffee County”さんが買い付けたものを分けていただきました。こういう美味しいウォッシュドコーヒー無くしてスペシャルティコーヒーは成立しないですね。その土地や気候や土壌環境をしっかりと表現してくれるウォッシュドコーヒーをONSAYAでは一番大事にしております。ぜひクリーンな浅煎りコーヒーをお楽しみください。


その他にも、オンラインストアでは「極浅煎り〜深煎り」までの銘柄をご用意しています。
初めての方には3種類を送料無料でお届けするロースターズセレクトがおすすめです。
(なるべくご希望に合わせてお届けできるよう努めていますので、ご注文の時に、ぜひお好みなどもご記載ください!)

ロースターズセレクト

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