あずまの蘊蓄珈琲談(vol.5)
ブレンドコーヒーとは
突然ですがブレンドコーヒーはお好きですか?私は若かりし頃ブレンド派でした。なんかブレンドの方が美味しく感じてましたし、おじさん達が開口一番「ブレンド!」と注文するのがなんとなく”通“かと思っていたからです笑 さてブレンドコーヒーとはいくつかのシングルコーヒーを混ぜて一つの味に仕上げるものを言いますが、ブレンドコーヒーには何種類を混ぜるのが基本とかはありません。イタリアのエスプレッソは5種類以上混ぜるとか聞いたことはありますが、日本においてはあまりないでしょう。いくつかの豆を混ぜるのでバランスが肝となってきます。特にスペシャルティコーヒーでブレンドする時は個性も強いのでバランスが難しくなってきます。なので最近は2種類〜3種類が多いように思います。3つ4つと重ねていくと個性がぶつかり、時に風味を消し合うのでとても難しいですね。クリーンカップ(カップの透明度)を阻害することもありそうです。ブレンド作りはとても繊細な作業になります。
焙煎においては”プレミックス“と”アフターミック“とあり、生豆を最初から混ぜておいて一緒に焙煎するのがプレミックスで、各々焙煎してから混ぜるのがアフターミックスです。プレミックスはロスもなく一度の焙煎で済むので楽ですが、豆はそれぞれ大きさ、密度、水分値が違うのでかなり近しい豆以外は正直プレミックスは厳しいです。自家焙煎の多くはアフターミックスでブレンドしているところが多いかと思います。 ではなぜブレンドコーヒーを作るのでしょうか?それぞれ思惑もあり、諸説あるかとは思いますが、最近と昔、国や状況でも少し意味合いが違うように思います。例えば品質の良くない豆しか手に入らなかったり、安い豆を使用したい場合など、それらの豆と少し香りのたつ豆、酸味のある豆などをミックスして味を補完し合い、おいしさを作っていくことが可能になります。味が単調な豆であってもいくつか違う風味の豆を混ぜれば少し複雑な風味を感じることができると言うことです。 極端な例としては敗戦国の戦後は当てはまるようです。イタリアのエスプレッソもそうだと聞いています。安価なロブスタやブラジルなどを使う必要があったので豆を数種類ブレンドし、良くない味を隠すため深煎りまで焙煎していたのです。日本の喫茶店隆盛の時代にもそんな流れがあったかもしれませんね。
反対に最近のスペシャルティコーヒーシーンでは生豆の品質もとても良くなっているのでシングルオリジンを単体で生かす流れがあります。ブレンドは品質面でマイナス面もあるので敬遠するお店もありますが、その店にしかない味作りとして特別な味としてブレンドを作るお店もあります。 前者はブレンドの価格は少し安く設定されますし、後者は逆に高いブレンドもありそうですね!
どうでしたか?ブレンドコーヒー解説。ご興味ありましたらブレンドコーヒーも楽しんでいただけたら嬉しいです。 ちなみにブレンドコーヒーが美味しかった理由の一つに、たくさん売れるのでいつも新鮮!と言うのはあったように思います。某大手U〇〇で働いていた経験からですが・・。
文 あずま