産地訪問 - コスタリカ編 2015 -

産地訪問 - コスタリカ編 2015 -

空港から近いサンホセのえらい都会的なホテルを出発。また旅が始まったと、もの思いに耽り始めた途端…最初に訪れる農園に着いてしまった。えーっ!?そうなんです、首都サンホセでも標高1000mを超えている高地の国。だから意外にコーヒー農園はすぐそばにありました。首都サンホセがあるセントラルバレーエリアはイラス火山、バルバ火山、ボアス火山に囲まれコーヒー栽培に最適な土壌を作り出している地域。ニカラグアとは違い思いの外、超特急でマイクロミル(後述)と農園を回っていく旅のようです。どこも美しい農園が多く、ビジネスとしてもコーヒーの栽培が成り立っている感じがします。やはりニカラグアとは少し匂いが違います。

セントラルバレーの有名マイクロミル、”ブルマス”へ。”ファン・ラモン・アルバラード”氏(サムネイル)のマイクロミルでCOE2012・1位(国際品評会)に輝いた素晴らしいコーヒーを作ることで世界中に知られています。彼は農業技師でもあるので拘っとんじゃろな~。ちなみにコスタリカでは”ハニー”コーヒーという生産処理がなされることが多いです。数農園訪問後、移動し3日目はウエストバレー本格訪問。名門「モンテブリサス」など視察。カッピング会場でお会いしたコスタリカのファンキーパパ  ”ジリオ”  さんは70歳を超えておられますが素晴らしいコーヒーを今でも作ってます。ジリオさんのコーヒーも入荷致します。そして「スラバマイクロミル」。熟した実のみ収穫後に水を張り手作業でフローター(浮く軽いチェリー)除去!手間!すごい。(図1)

図1

ピッカーも気さく。ちなみにピッカーはコスタリカ人はほぼいません。ニカラグア、ホンジュラス、パナマ人などが出稼ぎにきます。コスタリカ人では人件費が高すぎるようです。 コスタリカはスペシャルティコーヒーで世界でもTOPを走っている国の一つで、大きな特徴の一つが”マイクロミル”と呼ばれる超小規模生産処理設備。家族経営がほとんどで、中には収穫まで自分たちでやっている所さえあります。メリットは最初から最後まで一貫管理し、品質向上に目が行き届くところ。その中で実験的に生産処理を工夫し、色々な方法を積極的に試しています。ケニアのSL28(品種)やゲイシャ種などを輸入し新しく植えたり、品種改良もしています。緻密にデータを収集しそして研究。コスタリカすごいです。情熱を感じます。コスタリカのマイクロミルの流れは最近のようで、その前は収穫した実を大きい農協などに売り、大きいミル(生産処理施設)で色々な農園の色々なチェリーを一緒に生産処理を行い出荷していました。これではブレンドなので個性はなくなってきます、これがいわゆる”コマーシャルコーヒー”です。新しい流れにより、より明確な土壌、生産処理の違いからくる香味の輪郭を感じる素晴らしいコーヒーを作るようになり、素晴らしいものには高値がつけられ生産者の方も確かな収入を手にすることができるようになったのです。

 

サンホセから3時間ほどバスを走らせタラスエリアへ。近年のコスタリカコーヒーで最も注目されているエリアの一つ。我々が回るマイクロミル、農園の数もぐっと増え、翌日早速カッピング。うーんフレッシュで難しい。バシバシカッピングした後、カッピングシートで高得点だった(※採点してコーヒーを評価します)エルピロンマイクロミルへ。このミルはナチュラル(収穫したチェリー状態のまま乾燥)精製専門のミルらしく、カッピングでも素晴らしいフレーバーとクリーンカップを生み出しています。完熟のチェリーのみ収穫し更に選別、乾燥するのですがそれを均一乾燥する為に薄く延ばし(広い場所がいる)一日に何度も撹拌。何と30分に一度!さらに乾燥中にもハンドピック。それを5日間行い6日目からは少し厚く盛り、ゆっくり乾燥させていく…。やばい、感動してきます。
もちろん買い付けました。その後ラ・カソナ マイクロミルへ。ドンロへ親子経営。このおじちゃんと息子さん愛嬌があってすごく好感がもてる二人。点数も良かったですが人柄も+で買い付け。タラス2日目ドータ地区でカッピング。 おっと思えるカップに当たるとニンマリしてしまいます。その後視察。このエリアは素晴らしいマイクロミルが多く、2014年のWBC(ワールドバリスタチャンピオンシップ)で優勝された丸山珈琲の井崎さんが使用したモンテコペイ・マイクロミルも。このミルでも徹底したデータ収集をしており、2014年COE1位の実力を垣間みることができました。乾燥工程にもすごく拘っていてSlow Dryを大事にしていました。そしてモンテコペイのお隣ラ・バンデーラマイクロミル。わたくし、ここで不覚にも涙してしまう事が…。ある一緒に買い付けに回っているコーヒー屋さんが、 「日本でこんな感じで売ってて、評判がすごくいいよ!」 とミルの代表ディエゴさんに伝えると、彼が肩を震わせながら泣き始めたのです。いや、軽く涙をとかではなく、もう少しで嗚咽しそうなほど。 2年前からマイクロミルへと変貌したディエゴさんにとって、自分が作ったコーヒーがどう思われているのかすごく不安で、本当に嬉しかったようです。コーヒーがどのような人によって、どんな思いで作られ、遠く日本まで届いているのかを強く感じさせられました。いやいや泣かすなよディエゴ!アミーゴ! その感動的な訪問後も名門マイクロミルなどを訪ね夜は今まで行ったマイクロミルの人たちの多くを交えてパーティー。 DJ付きのダンス有りの。ここでどんちゃん騒ぎをしては、礼儀正しい日本人が疑われる!と我慢していたのですが、ブルマスのファンラモン氏に酒を飲まされたのを機に…。



翌日からも非常に充実した訪問やカッピングを重ね、全日程を無事終え。今、この出会い繋がりを経て体の中で何か大きな変化が起こったかのような感覚に囚われています。ニカラグアとコスタリカ。最高な体験をさせて頂いたと感じています。本当にありがとう! グラシアス! そしてアスタルエーゴ。

 

店主 アズマ

 

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